受託PMの転職ノート

PMのスカウトばかり届く人へ:中身の見分け方と返事の前に決めること

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スカウトの通知を開くと、また「PM」。案件規模も人数も書いていない文面が並んでいると、自分のPM経験が見られているのか、肩書きで拾われているだけなのか、分からなくなりますよね。

私は受託開発でPMをしています。43歳で、年収は600万円です。300万円・社内2人の案件も、5,000万円・社内外10人の案件も、肩書きはどちらも同じ「PM」でした。

PMのスカウトばかり届くことは、それだけでは評価とは限らないと思います。中身は文面のいくつかの点で見分けられますし、返事をする前に自分の条件を決めておけば、「PMなら何でも」にはならずに済みます。

では、同じ「PM」で、何がそんなに違うのか。私の場合、忙しさを決めていたのは肩書きではありませんでした。

なぜPMのスカウトばかり届くのか。届くこと自体は評価とは限らない

職務経歴に「PM」と書いてあれば、その言葉で探す側には引っかかります。ただ、その「PM」が何人のチームで、どれだけ顧客と話していたかまでは、肩書きからは見えません。

採用する側の目線も、少しだけ知っています。今の職場で面接官をしていたとき、職務経歴書は見ていましたが、スタートアップだったこともあって、あまり選り好みはしていませんでした。経歴書を読んで「この人に会いたい」と思った人は、正直いませんでした。

選ぶ側が、いつも一人ひとりの中身まで見て声をかけているとは限らない、ということです。

逆に、私がITに戻ったときに声をかけてくれた会社は、肩書きではなく、個人開発のコミュニティで私が質問していたやり取りを見て、人となりも分かったから声をかけた、と言っていました。

では、自分から応募もせずに声がかかったとき、何が決め手になったのか。

届いた件数が多いことと、自分の中身が見られていることは、別の話だと思います。

なぜPMばかりなのか。たぶん、肩書きの言葉で絞られて届いているからだと思います。だとすると、こちらも肩書きではなく中身で読み返す必要があります。

同じ「PM」でも中身は違う:スカウトの文面で最初に見る4つの点

自分が持った案件を並べると、同じPMでもこれだけ違いました(どれも運営者の1つの例です)。

  • 300万円・3か月・社内2人:位置情報を使ったWebアプリの開発で、設計・開発も自分でしました。
  • 500万円・4か月くらい・社内2人+顧客のエンジニア2人:社内向けのEMSで、開発経験の浅い顧客側の2人と一緒に開発しながら引き継ぎをしました。
  • 1,000万円・8か月・社内2人:設計・開発も自分でしました。
  • 5,000万円・12か月・社内5人+協力会社5人:フェーズが3つに切られていて、PMとして要件定義からテストまで担当しました。

金額だけで見れば、5,000万円の案件がいちばん大きな「PM経験」です。でも、やっていたことの中身は、案件ごとにかなり違いました。

1つめは案件規模です。5,000万円の案件では、別の人がした提案が実際のシステムや運用と合っておらず、顧客との調整と説明資料の作成に長い時間がかかりました(説明資料は10回を超えて作り直しています)。

2つめは人数です。社内2人の案件と、社内外で10人の案件では、伝える相手の数がまるで違います。頭の中にあるだけのことを人に伝えるのは難しく、伝えるための資料を作るのにもコストがかかります。

3つめは、顧客対応の比重です。500万円の案件は、顧客側のエンジニアと一緒に開発しながら引き継ぐ形でした。5,000万円の案件では、コスト面を気にする顧客に代わりの案を出して、合意を取るところまでがPMの仕事でした。同じ「顧客対応」でも、中身はこれだけ違います。

4つめは、開発を兼ねるかどうかです。私はITに戻ったときから、PM(顧客対応)と開発を同時にやるところから始まりました。1,000万円の案件では、リリース前に見つかった不具合の修正も、込み入ったものは結局自分の手でやっていました。

スカウトの文面で探すのは、この4つです。案件の金額や期間、チームの人数(社内か協力会社か)、顧客とどれくらい話すのか、手を動かす開発があるのか。書いていなければ、それは返事の前に聞くことになります。

「このPMは、自分の知っているPMと同じか」。文面を読むときは、まずそこを確かめるのが先だと思います。

顧客対応が多い時期と少ない時期で、何がどう違ったか

楽だったのは、一人で全部を一気通貫でやった案件です。

顧客の対応も含めて自分だけで完結し、自分でコントロールできます。

反対に、社内・協力会社、顧客側の運用保守の担当やシステムの担当と、関わる人が増えるほど、調整に時間もコストもかかって大変になりました。

1,000万円の案件では、金曜日に足りない機能が分かり、そのあとは夜遅くまでの修正や、休日に子どもの相手をしながらの作業が続きました。

500万円の案件でいちばん忙しかったのは要件定義で、キックオフから2週間で形にする必要がありました。300万円の案件は、それだけならあまり忙しくなかったのに、並行していた別の案件と合わせると忙しかったです。

では、年収を下げて小さい案件に移れば、この忙しさは減るのか。

忙しさを決めていたのは、PMという肩書きではありませんでした。関わる人の数と、顧客との調整の量、それから掛け持ちの数です。

なので、スカウトの「PM」を読むときに考えたいのは、自分が避けたい忙しさはどれか、です。人の多い調整なのか、開発を抱えたままのリリース前なのか、掛け持ちなのか。

返事をする前に決めておく:残業・案件規模・年収の線

条件を先に決めるのは、私にとっては初めてのことではありません。ITに戻ったときの決め手は、リモートであることと、月収が妻と自分の給与を足したより多いことの2つでした。その条件を受けてもらえたので、入社しています。

今もう一度書き出すなら、年収・残業・案件規模の3つです。

年収は、下げてもいいとは思えません。家庭があるからです。今の600万円は、相場が分からないので何とも言えないのですが、満足はしています。

では、その600万円は、案件規模や人数から見て妥当なのか。

残業は、記録の数字だけでは線を引けないと思っています。私の場合、記録上は月20時間ぐらいにしていますが、それ以外にも作業していて、実質は毎月40〜60時間だと思います(運営者の1つの例です)。

5歳の子どもには「パパはいっつも隙さえあればパソコンの前にいっちゃうんだから」と言われます。

残業の線は、この実際の時間のほうで引く必要があります。

案件規模の線は、金額より人数で考えたほうが、私には合っています。一人で完結できる案件が楽で、関わる人が増えるほど大変だったからです。

もう1つ、3つに入らない条件もあります。今はほぼリモートで働けていて、共働きで子どもの送り迎えがあるので、リモートでなくなると困ります。それと、自分が抜けたあと今の職場が回るのか、迷惑をかけないかも気になっています。

書き出したら、譲れるものと譲れないものに分けます。私なら、年収とリモートは譲れない側です。残業と規模は、どこまでなら受けられるかを、実際の時間と人数で考えたいと思います。

線があれば、スカウトの文面を読むときの目が変わります。

返事をする前に聞くことと、返事をしないと決めていいスカウト

線を引いたら、届いたスカウトは3つに分けられます。返事をする、質問する、見送る、の3つです。

文面で4つの点が分かり、自分の線にも収まっているなら、返事をする。分からない点があるなら、聞いてから決める。線から明らかに外れているなら、見送っていいと思います。たとえば私の場合、出社が前提のスカウトは、送り迎えのことを考えると返事をしない側に入ります。

聞いていいのは、残業の実際の時間、チームの人数と協力会社の有無、顧客と話す比重、開発を兼ねるか、リモートかどうか、です。どれも、私が忙しさや働き方で困った所か、困りそうな所です。

残業は、特に実際の時間を聞きたいところです。自分の記録と実際がずれているので、相手の数字も記録上のものかもしれない、と思うからです。

聞くのは失礼ではないか、と迷うかもしれません。面接官をしていた側から言うと、面談だけで分かることは少なく、採用してから言っていたことと違うと感じたこともありました。

だからこそ、分からないことは返事の前に聞いておくほうが、お互いのためだと思います。私が面接でよく聞いていたのも、「何をやりたいか」でした。線を決めておけば、その質問にもそのまま答えられます。

では、面接する側は、PMの経歴のどこを見ているのか。

また「PM」のスカウトが届いたら、件数ではなく、文面の4つの点と、自分で書いた線を並べてみてください。私の300万円の案件も5,000万円の案件も同じ「PM」でしたが、中身も忙しさも別物でした。返事をするかどうかは、そのPMが自分の知っているPMと同じだと分かってからでも、遅くないと思います。