PMのスカウトばかり届く人へ:中身の見分け方と返事の前に決めること
スカウトの通知を開くと、また「PM」。案件規模も人数も書いていない文面が並んでいると、自分のPM経験が見られているのか、肩書きで拾われているだけなのか、分からなくなりますよね。
私は受託開発でPMをしています。43歳で、年収は600万円です。300万円・社内2人の案件も、5,000万円・社内外10人の案件も、肩書きはどちらも同じ「PM」でした。
PMのスカウトばかり届くことは、それだけでは評価とは限らないと思います。中身は文面のいくつかの点で見分けられますし、返事をする前に自分の条件を決めておけば、「PMなら何でも」にはならずに済みます。
では、同じ「PM」で、何がそんなに違うのか。私の場合、忙しさを決めていたのは肩書きではありませんでした。
なぜPMのスカウトばかり届くのか。届くこと自体は評価とは限らない
職務経歴に「PM」と書いてあれば、その言葉で探す側には引っかかります。ただ、その「PM」が何人のチームで、どれだけ顧客と話していたかまでは、肩書きからは見えません。
採用する側の目線も、少しだけ知っています。今の職場で面接官をしていたとき、職務経歴書は見ていましたが、スタートアップだったこともあって、あまり選り好みはしていませんでした。経歴書を読んで「この人に会いたい」と思った人は、正直いませんでした。
選ぶ側が、いつも一人ひとりの中身まで見て声をかけているとは限らない、ということです。
逆に、私がITに戻ったときに声をかけてくれた会社は、肩書きではなく、個人開発のコミュニティで私が質問していたやり取りを見て、人となりも分かったから声をかけた、と言っていました。
では、自分から応募もせずに声がかかったとき、何が決め手になったのか。
ブランク5年、応募せずにITへ戻った:個人開発をSNSで見た会社から声がかかった
エンジニアのブランク5年から39歳で戻った体験談です。整体師の収入が妻より少なかった頃、趣味の個人開発をSNSで見た会社から声がかかり、応募せずにITへ復帰しました。戻ってすぐ戸惑ったこと、学び直しをどうしたか、PM・年収600万円までの約4年を書いています。
届いた件数が多いことと、自分の中身が見られていることは、別の話だと思います。
なぜPMばかりなのか。たぶん、肩書きの言葉で絞られて届いているからだと思います。だとすると、こちらも肩書きではなく中身で読み返す必要があります。
同じ「PM」でも中身は違う:スカウトの文面で最初に見る4つの点
自分が持った案件を並べると、同じPMでもこれだけ違いました(どれも運営者の1つの例です)。
- 300万円・3か月・社内2人:位置情報を使ったWebアプリの開発で、設計・開発も自分でしました。
- 500万円・4か月くらい・社内2人+顧客のエンジニア2人:社内向けのEMSで、開発経験の浅い顧客側の2人と一緒に開発しながら引き継ぎをしました。
- 1,000万円・8か月・社内2人:設計・開発も自分でしました。
- 5,000万円・12か月・社内5人+協力会社5人:フェーズが3つに切られていて、PMとして要件定義からテストまで担当しました。
金額だけで見れば、5,000万円の案件がいちばん大きな「PM経験」です。でも、やっていたことの中身は、案件ごとにかなり違いました。
1つめは案件規模です。5,000万円の案件では、別の人がした提案が実際のシステムや運用と合っておらず、顧客との調整と説明資料の作成に長い時間がかかりました(説明資料は10回を超えて作り直しています)。
2つめは人数です。社内2人の案件と、社内外で10人の案件では、伝える相手の数がまるで違います。頭の中にあるだけのことを人に伝えるのは難しく、伝えるための資料を作るのにもコストがかかります。
3つめは、顧客対応の比重です。500万円の案件は、顧客側のエンジニアと一緒に開発しながら引き継ぐ形でした。5,000万円の案件では、コスト面を気にする顧客に代わりの案を出して、合意を取るところまでがPMの仕事でした。同じ「顧客対応」でも、中身はこれだけ違います。
4つめは、開発を兼ねるかどうかです。私はITに戻ったときから、PM(顧客対応)と開発を同時にやるところから始まりました。1,000万円の案件では、リリース前に見つかった不具合の修正も、込み入ったものは結局自分の手でやっていました。
スカウトの文面で探すのは、この4つです。案件の金額や期間、チームの人数(社内か協力会社か)、顧客とどれくらい話すのか、手を動かす開発があるのか。書いていなければ、それは返事の前に聞くことになります。
「このPMは、自分の知っているPMと同じか」。文面を読むときは、まずそこを確かめるのが先だと思います。
顧客対応が多い時期と少ない時期で、何がどう違ったか
楽だったのは、一人で全部を一気通貫でやった案件です。
顧客の対応も含めて自分だけで完結し、自分でコントロールできます。
反対に、社内・協力会社、顧客側の運用保守の担当やシステムの担当と、関わる人が増えるほど、調整に時間もコストもかかって大変になりました。
1,000万円の案件では、金曜日に足りない機能が分かり、そのあとは夜遅くまでの修正や、休日に子どもの相手をしながらの作業が続きました。
500万円の案件でいちばん忙しかったのは要件定義で、キックオフから2週間で形にする必要がありました。300万円の案件は、それだけならあまり忙しくなかったのに、並行していた別の案件と合わせると忙しかったです。
では、年収を下げて小さい案件に移れば、この忙しさは減るのか。
受託PMは年収を下げて残業を減らせるか:案件規模と忙しさの実例
受託PMは年収を下げて残業を減らせる?案件規模・人数・協力会社の割合から、年収600万円の1つの例をもとに、忙しさが変わる条件と見極め方を整理します。
忙しさを決めていたのは、PMという肩書きではありませんでした。関わる人の数と、顧客との調整の量、それから掛け持ちの数です。
なので、スカウトの「PM」を読むときに考えたいのは、自分が避けたい忙しさはどれか、です。人の多い調整なのか、開発を抱えたままのリリース前なのか、掛け持ちなのか。
返事をする前に決めておく:残業・案件規模・年収の線
条件を先に決めるのは、私にとっては初めてのことではありません。ITに戻ったときの決め手は、リモートであることと、月収が妻と自分の給与を足したより多いことの2つでした。その条件を受けてもらえたので、入社しています。
今もう一度書き出すなら、年収・残業・案件規模の3つです。
年収は、下げてもいいとは思えません。家庭があるからです。今の600万円は、相場が分からないので何とも言えないのですが、満足はしています。
では、その600万円は、案件規模や人数から見て妥当なのか。
受託PMの年収600万円は妥当か:案件規模・人数・残業で位置を確かめる
受託PMの年収600万円は妥当なのか。43歳で受託のPMをしている運営者が、300万〜5,000万円の4件の案件を表にして、案件の金額・関わる人の数・記録に出ない残業の3つから、自分の位置を確かめた記録です。
残業は、記録の数字だけでは線を引けないと思っています。私の場合、記録上は月20時間ぐらいにしていますが、それ以外にも作業していて、実質は毎月40〜60時間だと思います(運営者の1つの例です)。
5歳の子どもには「パパはいっつも隙さえあればパソコンの前にいっちゃうんだから」と言われます。
残業の線は、この実際の時間のほうで引く必要があります。
案件規模の線は、金額より人数で考えたほうが、私には合っています。一人で完結できる案件が楽で、関わる人が増えるほど大変だったからです。
もう1つ、3つに入らない条件もあります。今はほぼリモートで働けていて、共働きで子どもの送り迎えがあるので、リモートでなくなると困ります。それと、自分が抜けたあと今の職場が回るのか、迷惑をかけないかも気になっています。
書き出したら、譲れるものと譲れないものに分けます。私なら、年収とリモートは譲れない側です。残業と規模は、どこまでなら受けられるかを、実際の時間と人数で考えたいと思います。
線があれば、スカウトの文面を読むときの目が変わります。
返事をする前に聞くことと、返事をしないと決めていいスカウト
線を引いたら、届いたスカウトは3つに分けられます。返事をする、質問する、見送る、の3つです。
文面で4つの点が分かり、自分の線にも収まっているなら、返事をする。分からない点があるなら、聞いてから決める。線から明らかに外れているなら、見送っていいと思います。たとえば私の場合、出社が前提のスカウトは、送り迎えのことを考えると返事をしない側に入ります。
聞いていいのは、残業の実際の時間、チームの人数と協力会社の有無、顧客と話す比重、開発を兼ねるか、リモートかどうか、です。どれも、私が忙しさや働き方で困った所か、困りそうな所です。
残業は、特に実際の時間を聞きたいところです。自分の記録と実際がずれているので、相手の数字も記録上のものかもしれない、と思うからです。
聞くのは失礼ではないか、と迷うかもしれません。面接官をしていた側から言うと、面談だけで分かることは少なく、採用してから言っていたことと違うと感じたこともありました。
だからこそ、分からないことは返事の前に聞いておくほうが、お互いのためだと思います。私が面接でよく聞いていたのも、「何をやりたいか」でした。線を決めておけば、その質問にもそのまま答えられます。
では、面接する側は、PMの経歴のどこを見ているのか。
面接官をしたPMが見ていたこと:技術より先に、指示待ちかどうか
PM転職の面接で見られるのは何か。スタートアップで採用面接をした受託PMが、技術より先に見ていた「コミュニケーション」と「指示待ちかどうか」、面談と入社後の姿が違った例、そこから面接される側として話せることを書きます。
また「PM」のスカウトが届いたら、件数ではなく、文面の4つの点と、自分で書いた線を並べてみてください。私の300万円の案件も5,000万円の案件も同じ「PM」でしたが、中身も忙しさも別物でした。返事をするかどうかは、そのPMが自分の知っているPMと同じだと分かってからでも、遅くないと思います。